飲料市場次のトレンドは、紅茶に!?

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流行が千変万化するペットボトル飲料。一昨年春に登場したペットボトル入りのコーヒーはビジネスシーンに定着した感がある。女性を中心にカフェイン摂取を控えようとする意識が高まる中、平成の最終盤に飲料メーカーが仕掛けるトレンドは「紅茶」だ。(玉崎栄次)

芳醇な香り抽出


 ペットボトル入りコーヒーの人気を牽引(けんいん)したのは、サントリー食品インターナショナルの「クラフトボス」。「働く人の相棒」というコンセプトで、発売された平成29年度には1千万ケース、翌年度は2700万ケースを超えるヒットになった。

背景には、IT化に伴いデスクワーク中心となった労働環境の変化がある。お茶や水の代わりとしてちびちびだらだらと少しずつ時間をかけて飲む「ちびだら飲み」というスタイルにはまった。同社が3月19日にそのボスブランドから発売したのが、無糖紅茶「クラフトボスTEA(ティー) ノンシュガー」だ。


 ちびだら飲みに適するよう、渋みを抑えた味に仕上げた。茶葉を水蒸気に触れさせ、その蒸気を集める「高濃度アロマ抽出製法」により、淹(い)れ立ての芳醇(ほうじゅん)な香りを抽出して紅茶に合わせ、口に含むと香り立つ。


 ターゲットは20、30代の女性。開発担当の浅岡あゆ美さんは「アフタヌーンティーのイメージでは休日のイメージが強すぎる。ボスシリーズのコーヒーでカバーしきれないニーズをつかみたい」と話す。

こくとうまみ前面


 《カフェラテ、卒業しました。》


 ペットボトル紅茶飲料トップシェアのキリンもサントリーの1週間後、「キリン 午後の紅茶 ザ・マイスターズ ミルクティー」を発売した。コーヒーに対する挑戦的なコピーを打ち出し、オフィスでのちびだら飲み需要を狙う。


 こちらは微糖のミルクティー。通常よりも少ない湯で、通常より多めの茶葉で抽出する「リーフリッチブリュー製法」を開発し、飲み応えを支えるうまみやこくをより引き出した。


 ターゲットは20代後半から30代の女性で、「コーヒーは強すぎる」と感じているビジネスウーマンの支持獲得を目指す。ブランド担当の東桃子さんは「オフィスでは気分転換を求めて飲まれるが、無糖だと物足りない。茶葉のこくとうまみを前面に出し、嗜好(しこう)性を担保した」と説明する。

カフェイン離れ


 紅茶がトレンド化する背景には、市場の伸び悩みがある。全国清涼飲料連合会の統計(30年)によると、紅茶飲料の国内生産量シェアはわずか4・6%。コーヒー(14・4%)や緑茶(13%)に比べ少ない。しかし、「見方を変えれば、より大きな伸びしろがあるということ」(東さん)でもある。


 紅茶が注目される理由の一つに、女性を中心にカフェインの摂取を控えようとする消費者意識の変化もありそうだ。


 松屋銀座の食品ディレクター、藤本紀久子さんは「紅茶はコーヒーよりもカフェインが少ない場合が多いので、『癒やし』の要素を求めて選ばれる傾向がある。仕事の場面などに携帯する癒しドリンクとして、人気が高まっていくのではないか」と指摘している。